ランニングの際、「心拍数」を意識したことはありますか?ただ走るだけでは、持久力やスピードを効率的に伸ばすのは難しいこともあります。本記事では、ランニングを研究する理学療法士の知見のもとに、「心拍数」を活用したトレーニングの基本と応用をわかりやすく解説します。
心拍数を正しく管理することで、疲れにくい走りを実現し、ケガのリスクを減らしながら、パフォーマンスを向上させることが可能です。また、心拍数を活用することで、自分に合ったトレーニング強度を見極め、より効率的に目標に近づくことができます。
心拍数を使ったトレーニングは、初心者から上級者まで幅広いランナーに対応可能で、リカバリーから高強度のインターバル練習まで応用が利きます。本記事を読み進めることで、ランニングがもっと楽しく、効果的になります。
ぜひこの機会に、心拍数トレーニングの基本を学び、次のランに活かしてみましょう。
心拍数の測定方法
最大心拍数(HRmax)の測定方法
心拍数トレーニングの基本は「最大心拍数」を知ることです。最大心拍数は以下の公式で簡易的に計算できます。
(予測)最大心拍数(HRmax)=220-年齢
例えば、40歳のランナーの場合:
220-40 = 180拍/分
この数値を基準に、トレーニングゾーンを設定していきます。
安静時心拍数(RHR)の測定方法
朝起きた直後やリラックスした状態で、心拍数を測定してください。これが安静時心拍数です。一般的には安静時心拍数が低いほど、心肺機能が発達していると考えられます。
トレーニングゾーンを知る
心拍数を活用するトレーニングでは、目的に応じて心拍数ゾーンを設定します。以下は代表的な5つのゾーンです。
ゾーン1(最大心拍数の50-60%)
リカバリーやウォームアップ
- 低強度で会話ができるペース。
- 疲労回復や心肺機能の基礎強化。
ゾーン2(最大心拍数の60–70%)
基礎持久力向上
- マラソン練習の中心となるペース。
- 脂肪燃焼が促進され、長時間の運動に適している。
ゾーン3(最大心拍数の70–80%)
有酸素能力向上
- 軽い息切れを感じるペース。
- 持久力を高め、ペース維持能力を鍛える。
ゾーン4(最大心拍数の80–90%)
乳酸閾値トレーニング
- きついけれど維持できるペース。
- スピードと持久力を同時に向上。
ゾーン5(最大心拍数の90–100%)
無酸素運動・短距離走
- 全力疾走のペース。
- 最大努力で短時間のみ持続可能。
心拍数を用いたトレーニング方法
ロングラン(ゾーン2)
目的
基礎持久力の向上と脂肪燃焼。
方法
週1回、1時間以上のランニングを心拍数ゾーン2で行います。ペースを上げすぎず、一定の心拍数をキープすることがポイントです。
テンポラン(ゾーン3~4)
目的
ペース持久力の向上。
方法
ゾーン3~4で20~30分のランニングを行います。乳酸閾値に近いペースを維持し、持久力を鍛えます。
インターバルトレーニング(ゾーン4~5)
目的
スピードと無酸素能力の向上。
方法
ゾーン4~5の高強度ランニングを短時間(30秒~3分)行い、ゾーン1で休息を挟むセットを繰り返します。
心拍数を測定するツール
スマートウォッチ
多くのスマートウォッチには心拍数をリアルタイムで測定する機能があります。
胸部ストラップ型心拍計
より精度の高い測定が可能です。心拍数の変動を正確に把握したい場合に適しています。
心拍数トレーニングの注意点
無理をしない
心拍数トレーニングは効率を高めますが、無理をすると逆効果です。体調に違和感を感じたら、すぐにペースを落としてください。
目標と現状を見極める
ランニングで持久力を向上させたいのか、スピードをアップさせたいのか、目的に応じたゾーンを選びましょう。すべてのゾーンを一度に鍛える必要はありません。
心拍数の個人差を理解する
最大心拍数や安静時心拍数は個人差が大きいので、目安として活用し、自分の体感とも照らし合わせてください。
まとめ
心拍数はランナーにとって非常に有用な指標であり、トレーニング効率を高める鍵となります。最大心拍数を把握し、目標に応じた心拍ゾーンでトレーニングすることで、持久力、スピード、回復力をバランスよく向上させることができます。
無理せずにがんばっていきましょう!
参考文献
- 倉島万由子.『楽しいから続く、続くから効果が出る くせになるランニング』.日本実業出版社,2024.
コメント