ランニングを続けていると、「LSD(ロング・スロー・ディスタンス)」という言葉を耳にすることはありませんか?LSDとはその名の通り「ゆっくり長く走る」練習法を指します。でも、「ゆっくり長く走るだけで本当に効果があるの?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。実は、このLSDこそがランナーの基礎体力をつくり、タイム短縮やマラソン完走を可能にする重要な練習法なのです。
本記事では、ランニングを研究している理学療法士の視点から、LSDの具体的なメリットと効果的なやり方をご紹介します。LSDを取り入れることで、体内にエネルギーを効率的に蓄える能力が向上し、持久力が身につくだけでなく、脂肪燃焼やダイエット効果も期待できます。さらに、遅筋線維を鍛えることで、長時間走れる「足作り」ができ、ケガの予防やメンタルの強化にも役立ちます。LSDは、初心者からマラソンで4時間切りを目指す中級ランナー、一流ランナーに至るまで幅広く活用されています。本記事を読めば、LSDが持つ驚きの効果を理解し、日々のランニングにどう取り入れるべきかが分かります。

LSDの世界に一歩踏み出して、もっと楽しく、もっと強いランナーを目指しましょう!
LSDとは「ゆっくり長く走る」練習法

LSD(Long Slow Distance:ロング・スロー・ディスタンス) は長距離ランニングにおける基本的な練習法で、ペースを落として長く走ることを目的としています。
LSDのメリット:なぜゆっくり長く走ると良いのか?

持久力がつく
LSDを続けると、体内にエネルギーを蓄える能力が向上します。長距離を走る際には、主に「グリコーゲン」というエネルギー源が使われますが、LSDを行うことでグリコーゲンを効率的に蓄えられる体質になります。さらに、毛細血管が発達して酸素の運搬能力が向上し、筋肉をより効率的に動かせるようになります。
脂肪燃焼&ダイエット効果
LSDは長時間の有酸素運動であるため、体脂肪をエネルギーとして燃焼する能力を高めます。その結果、ダイエット効果や体重管理に役立つだけでなく、効率的にエネルギーを使える体づくりにも繋がります。
足作りとケガ防止
ゆっくりと長時間走ることで、体に過度な負担をかけずに筋肉や関節を鍛えられます。特に、長距離ランニングに必要な遅筋線維が発達するため、マラソンに向けた「足作り」に効果的です。また、ケガをしにくい体づくりにも役立ちます。
メンタルの強化
LSDでは、長時間一定のペースで走り続けることが求められるため、精神的な忍耐力が鍛えられます。特にマラソン本番では、後半での疲労や単調さに耐える力が重要になりますが、LSDの練習を積むことでそのような場面に強くなれます。
ランニングフォームの安定
LSDでは速いペースで走る必要がないため、余裕を持ってフォームを見直すことができます。「ゆっくり走るから」とフォームを崩さず、速く走るときと同じ姿勢を維持することを心がけましょう。
LSDのやり方

ペースを決める
- 目安ペース:1キロあたり6~8分程度。これは、会話ができるくらいのゆっくりしたペースです。心拍数で測る場合は、100~130回/分程度を目安にしましょう。
- ボルグスケール(自覚的運動強度)では「13(ややきつい)」程度が理想です。
参考として1キロ6分ペースで走ることができれば、マラソンを約4時間で完走できるペースです。
時間を設定する
目安時間:1回のLSDは2時間~3時間行うのが理想的です。 時間が取れない場合は、「60分ジョグ+30分ウォーキング」を2回行うなど、柔軟に対応しましょう。
スケジュールを組む
- 頻度:週に1~2回を目安に取り入れるのがおすすめです。
- タイミング:休日や仕事帰りに「帰宅ラン」として行うのも良いでしょう。
途中で工夫を取り入れる
- スピード練習の要素を追加:途中で短いダッシュを入れることで、心肺機能やスピード強化にもつながります。例えば、20分ごとに30秒のダッシュを数回取り入れるのがおすすめです。
- 音楽や動画でモチベーションを維持:好きな音楽を聴いたり、YouTubeを視聴しながら行うことで、単調さを和らげられます(安全には十分注意してください)。
水分・栄養補給と休息を忘れない
長時間走るため、水分補給やエネルギー補給が必須です。エナジージェルやバナナなど、消化に良いものを活用しましょう。
LSDをより楽しむためのポイント

日常生活での発想転換
- ランニング以外の日常生活でも、軽い運動を取り入れてみましょう。例えば、階段を使ったり、買い物へ行く際に走るといった工夫です。
- 主婦の方なら「買い物ラン」を取り入れるのも一案です。体を動かしながら日常の用事も済ませられるので一石二鳥です。
コースを変えて気分転換
いつもと違うランニングコースを選ぶことで、新しい景色を楽しめます。初めて訪れる場所をゆっくり走るのもおすすめです。
フォームと呼吸を意識
ゆっくり走るLSDだからこそ、ランニングフォームを丁寧に確認できます。速く走るときと同じフォームを維持し、腹式呼吸を取り入れることで疲れにくくなります。
LSDの注意点

LSDだけでは不十分な場合もある
マラソンで3時間~3時間半を目指す場合は、LSDだけではスピード練習が不足することがあります。インターバル走やペース走を併用してスピード強化を図りましょう。
体調管理を最優先
長時間走るため、体への負担も大きくなります。走りすぎによる疲労やケガを防ぐため、適度なリカバリー(休息日)を設けることが重要です。
紫外線対策と水分補給
日中に行う場合は日焼け止めや帽子を着用しましょう。また、給水ポイントが少ない場所では、携帯用の給水ボトルを活用してください。
LSDはどのような人が行うと良い?

マラソン完走や4時間切りを目指す人
LSDは、基礎体力を作るための最適な練習法です。特にマラソン初心者やタイム向上を目指す方にとっては、欠かせないメニューとなります。
スピード練習との併用が必要な人
3時間台のタイムを狙う方には、LSDに加えてスピード練習や筋力強化も取り入れることが重要です。
まとめ
LSDは、持久力の向上や足作り、脂肪燃焼といった多くのメリットをもたらす練習法です。特にマラソン完走や4時間切りを目指す人にとっては必須のトレーニングであり、基礎力を作るための柱と言えます。
ゆっくり・長く走ることで体力をつけつつ、精神的な忍耐力を養いましょう。また、ダッシュや筋トレを取り入れることで練習の幅を広げるとさらに効果的です。

走ることの楽しさを再発見しながら、LSDを日々のランニングに取り入れてみてください!
参考文献
- 中野ジェームズ修一.『マンガでわかる新しいランニング入門』.池田書店,2019.
- 金哲彦.『ランニング・スタート・ブック』.枻出版社,2008.
- 小出義雄,他.『小出ランニングアカデミー』.東京新聞,2013.
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