ランニングシューズ選びに悩んでいませんか?「厚底シューズ」と「薄底シューズ」のどちらが自分に合っているのか、迷うランナーも多いのではないでしょうか。厚底シューズは近年のマラソン大会で数々の記録を塗り替え、一方で薄底シューズは軽量性を武器にスピードを求めるランナーに愛用されています。しかし、それぞれのシューズには明確なメリット・デメリットがあり、選び方を間違えるとパフォーマンスの低下や障害リスクの増加につながる可能性もあります。
本記事では、ランニングを専門に研究する理学療法士の視点から、厚底シューズと薄底シューズの特徴や効果を論文に基づいて解説します。特に、厚底シューズのランニングエコノミー向上の理由や障害リスクとの関係、薄底シューズのスピード重視の設計とリスクについて詳しく掘り下げます。最終的に、初心者から上級者まで、競技レベルや目的に応じた最適なシューズ選びをサポートします。

適切なシューズを選ぶことで、より快適で安全なランニングライフを楽しみ、自己ベストの更新や怪我の予防につなげていきましょう!
厚底シューズとは?

厚底ミッドソールで衝撃軽減とエネルギーを効率的に使える
厚底シューズは、厚みのあるミッドソール と 高反発素材 を特徴としています。この構造により、クッション性が高く、効率的な走行動作をサポートする設計となっています。これまでの従来型シューズとは異なり、足への衝撃を軽減しながらエネルギー効率を向上させる効果が期待されています。
2017年以降、記録更新で普及拡大
2017年以降、厚底シューズを着用した選手がマラソンやトラック競技で数々の記録を打ち立て、その注目度が急上昇しました。これを機に、多くのメーカーが厚底シューズの開発に乗り出し、一般ランナーにもその普及が進んでいます。
厚底シューズのメリット

ランニングエコノミー(RE)の向上

厚底シューズの最大の利点は、ランニングエコノミーの向上です。
- ランニングエコノミーとは、距離を走る際に消費するエネルギー効率を示す指標で、REが高いほど少ないエネルギーで長距離を走ることができます。ランニング効率とも呼ばれ、少ないエネルギーで走る能力を示します。
- 厚底シューズの着用により、フルマラソンでのタイム短縮や最大下の走速度におけるエネルギー消費量の改善が多数の研究で報告されています。
衝撃吸収性の向上
厚底シューズの厚みのあるミッドソールは、地面からの衝撃を効果的に緩和します。これにより、長距離ランニング時の足や関節への負担を軽減し、快適性が向上します。
効率的なランニング動作の促進
厚底シューズは、ランニング動作中に骨盤の水平速度や垂直変動を抑え、効率的なフォームを維持する助けとなります。また、立脚期における股関節周囲の安定性を高め、エネルギーのロスを最小限に抑えることが可能です。
厚底シューズのデメリット

ランニング障害リスクの増加
研究によれば、厚底シューズの着用は以下の部位で障害発生リスクを増加させる可能性があるとされています。影響を受けやすい部位は股関節、臀部、大腿、膝関節、下腿、アキレス腱、足関節、足部です。特に 股関節障害 の発生リスクは、他の部位と比較して約2倍に増加するとの報告があります。
使用者の慣れが必要
厚底シューズの高反発性や厚みは、使用者の慣れを必要とします。適応が不十分な場合、バランスを崩したり、フォームが乱れやすくなる可能性があります。
価格が高い
高性能な厚底シューズは、一般的に価格が高めで、初心者ランナーにはコスト面でのハードルが高い場合があります。
薄底シューズとは?

薄底シューズはスピード重視
薄底シューズは、厚底シューズに比べてミッドソールの厚みが少なく、軽量性を重視しています。特にスピードを求めるランナーや上級者に好まれています。
薄底シューズのメリットは地面との接触を感じやすい
- 軽いため、スピードを重視するレースや短距離ランニングに適している。
- 足底感覚を重視したいランナーには適しており、地面との接触を強く感じることができる。
薄底シューズのデメリットは関節の保護には向かない
- クッション性が低いため、長距離ランニングや関節の保護には向かない。
- 脚部への負担が大きく、特に初心者ランナーにはケガのリスクが高いとされています。
厚底シューズと薄底シューズ:競技レベル別ガイド

初心者ランナー・ジョギング愛好家は厚底シューズが推奨
衝撃吸収性と安定性に優れた厚底シューズは、足や関節への負担を軽減するため、安全性を重視した選択が適しています。また、長時間走る際の快適性を提供します。
中級ランナーは厚底シューズまたは薄底シューズが推奨
レースやトレーニングの目的に応じて選択を変えるのがおすすめです。
厚底シューズ:長距離ランニングやマラソンでのタイム向上を目指す場合。
薄底シューズ:スピード練習や短距離レースでのパフォーマンス向上を図る場合。
上級ランナーは薄底シューズ(目的による選択)が推奨
スピードを追求する上級ランナーは、薄底シューズの軽量性や接地感を活かして効率的に走ることができます。ただし、長距離では厚底シューズの使用も検討すべきです。
厚底シューズを活用するポイント

初期段階での適応練習
初めて厚底シューズを履く場合は、短い距離や軽いジョグから慣れることが大切です。
自分のフォームを見直す
厚底シューズに頼りすぎず、効率的なランニングフォームを維持することが障害リスク軽減につながります。
適切なメンテナンスと交換
厚底シューズは使用頻度によってクッション性が低下するため、定期的に交換することを忘れないようにしましょう。
まとめ
厚底シューズと薄底シューズのどちらを選ぶかは、目的や競技レベルに応じて適切に判断 することが重要です。

自分のランニングスタイルや目標に合ったシューズを選び、快適で安全なランニングライフを楽しみましょう!
参考文献
- 植山剛裕,他.『男性長距離走選手の厚底シューズの着用がランニング障害に及ぼす影響』.2022,30(3),p.758-763.
- 安田稔人.『アスリートの靴 (ランニング)』.MB Orthopaedics.2018,31(3),p.59-64.
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