「ランニングを続けていたら、足の爪が黒くなってしまった」「痛みはないけれど、爪の色が変わっていて気になる」このような経験をしたことはありませんか?
爪が黒くなるのは、「爪下血腫(そうかけっしゅ)」と呼ばれる状態で、放置すると爪が剥がれたり、痛みを伴うことがあります。主な原因は、シューズのサイズが合っていないことや、ランニングフォームの問題による足への負担です。
本記事では、ランニングを研究している理学療法士が、爪下血腫の原因と効果的な対策を詳しく解説します。
この記事を読むことで、爪が黒くなる原因を正しく理解し、適切な対策ができるようになります。

さらに、ランニングフォームを見直すことで、より効率的な走り方を習得し、足への負担を軽減しながら快適にランニングを続けることができるようになります。
ランニングで爪が黒くなる原因

足の指がシューズの中で動いて、つま先がぶつかる
走っているときに足がシューズの中で前後に動き、つま先が靴の先端にぶつかり続けると爪に負担がかかります。特に下り坂では前方への衝撃が増し、爪下血腫のリスクが高まります。
靴が小さすぎると爪先が常に圧迫されますが、実は大きすぎる靴の方がリスクが高いことが多いです。サイズが大きいと靴の中で足が滑り、つま先が何度もぶつかるためです。
足の指に力が入りすぎている
走るときに足の指を必要以上に使って地面を押し出そうとすると、爪に強い圧力がかかります。特に長時間のランニングでは、その負担が積み重なり爪の血管が圧迫されて内出血が起こることがあります。
また、爪下血腫を起こすということは、ランニングフォームに問題がある可能性もあります。正しく体重移動ができていなかったり、足の一部に負担が偏っていたりすることが多いため、フォームの見直しが必要です。
シューズのサイズが合っていない
シューズのサイズが合っていないと、走るたびに足に無駄な負担がかかります。先ほども述べましたが、特に、大きすぎる靴は足が前後に動きやすく、結果としてつま先が何度も靴の内側にぶつかることになります。適切なサイズの靴を選ぶことが、爪下血腫を防ぐための基本となります。
爪下血腫を防ぐための対策

シューズの選び方を見直す
シューズのサイズや形が合っていないと、足に余計な負担がかかります。
適切なシューズを選ぶためのポイント
- 足のサイズを専門店で計測してもらう
- 足の指が自由に動くように、つま先部分(トゥボックス)が広めの靴を選ぶ
- 厚手のランニング用ソックスを履く場合、その厚みを考慮してサイズを選ぶ
特に足幅が広い人や、長時間走る人は、トゥボックスにゆとりがあるシューズを選ぶことで、つま先への圧迫を防ぐことができます。
靴紐を正しく結ぶ
シューズの中で足が動かないようにするには、靴紐の結び方も重要です。
正しく靴紐を結ぶためのポイント
- 甲の部分は締めすぎず、足首周りをしっかり固定する
- 「かかとロック」の結び方を取り入れる
かかとロックとは?
かかとロックとは、足首部分のシューホール(靴紐を通す穴)を活用して、かかとがしっかり固定されるように結ぶ方法です。かかとの浮きを防ぎ、靴の中で足が前後に動くのを抑える効果があります。
これは下り坂を走るときだけでなく、普段のランニングでも取り入れると、つま先が靴にぶつかるのを防ぐことができます。
正しいフォームを意識する
足の指に力を入れすぎないようにすることで、爪下血腫を防ぐことができます。
フォーム改善のポイント
- 足裏全体で体重を支え、スムーズに重心移動を行う
- 走っている間もリラックスし、足の指が自由に動ける状態を保つ
- 足の指は補助として使い、無理に押し出そうとしない
フォーム改善のためのトレーニング
横向きで走る練習をすると、足の指に頼らずにスムーズな重心移動を意識できます。
特に、走るときに無駄な力が入る人は、こうした意識を持つことで足の負担を軽減できます。
爪のケアをしっかり行う

爪の状態も、爪下血腫を防ぐためには重要です。
爪のケアのポイント
- 深爪を避け、適度な長さを保つ
- 爪の形はスクエアカット(四角い形)に整える
- 乾燥を防ぐために、保湿オイルを使う
爪が長すぎると衝撃を受けやすく、逆に短すぎると圧迫されやすくなるため、適切な長さを維持することが大切です。
まとめ
爪下血腫は、シューズの選び方やフォームの問題が原因で起こります。
対策として大切なこと

爪が黒くなるのは、単なるシューズの問題ではなく、フォームの乱れが影響していることもあります。足に負担をかけずに走れるよう、シューズ選びとフォーム改善を意識しながらランニングを楽しみましょう。
参考文献
- 中野ジェームズ修一.『マンガでわかる新しいランニング入門』.池田書店, 2019.
- 鈴木清和.『確実に速くなる ランニングの科学』.池田書店, 2015.
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