「効率的に運動を管理したい」「無理なく目標を達成したい」と感じることはありませんか?ランニングやその他の運動をより効果的に、そして安全に行うためには、科学的なアプローチが欠かせません。その中でも「METs(メッツ)」という指標は、運動の強度を客観的に示す単位として、多くの専門家やアスリートに利用されています。理学療法士としてランニングを研究している筆者が、METsの基礎から活用法までを詳しく解説します。
METsは、運動中にどれだけの酸素を消費しているかを基に計算される指標で、運動のエネルギー消費量を定量化するのに役立ちます。この数値を使えば、ランニングの消費カロリーを具体的に把握しやすくなり、ダイエットや健康維持の計画が立てやすくなります。また、無理のない範囲で運動量を調整することで、ケガや疲労を予防する効果も期待できます。例えば、自分に合った運動強度を知ることで、継続しやすく楽しいトレーニングを設計することができます。
本記事では、METsの仕組みや計算方法に加え、ランニングにおける具体的な活用方法を紹介します。METsを活用すれば、運動の効果を最大化しながら、無駄のないトレーニングが可能になります。

科学的根拠に基づいたアプローチで、あなたのランニングライフをより充実させる方法を一緒に学びましょう。
METsと酸素消費量の基本

METsは、安静時の酸素消費量を基準に、運動中の身体活動がどれだけエネルギーを消費しているかを表します。
1MET = 安静時の酸素消費量
1MET=3.5mL/kg/分(体重1kgあたり1分間に消費する酸素量)。例えば、運動中の酸素消費量が7mL/kg/分の場合、METs値は次のように計算されます。
運動中の酸素消費量を基にした計算例
- 運動のMETs値 = 運動中の酸素消費量 ÷ 安静時の酸素消費量
- = 7mL/kg/分 ÷ 3.5mL/kg/分
- = 2METs
この運動は、安静時の2倍のエネルギー消費があることを意味します。
METsのメリットは運動強度の定量化

METsは、運動の強度を数値で表すため、以下のような点で役立ちます。
運動強度の評価
自分が行っている運動が軽いのか、それとも強度が高いのかを客観的に把握できます。
健康管理への活用
どれくらいのエネルギーを消費しているのかを把握し、適切な健康管理を行うことができます。
トレーニングの指針
目標に応じて、運動のMETs値を調整することで、効率的なトレーニングが可能です。
ランニングにおけるMETsの具体例

ランニングのMETs値は、速度や運動環境に応じて異なります。以下は代表的な例です。
運動内容 | 速度 | METs値 |
---|---|---|
ウォーキング | 4km/h | 2.5~3METs |
軽いジョギング | 8km/h | 8METs |
中程度のランニング | 10km/h | 10METs |
高強度ランニング | 12km/h以上 | 12~14METs |
METs値から消費カロリーを計算する方法

METsを利用すれば、運動の消費カロリーを簡単に計算することができます。
消費カロリー(kcal) = メッツ×体重(kg)×運動時間(h)×1.05
例
- 体重60kgの人が、10km/h(10METs)のランニングを1時間行った場合。
- 消費カロリー(kcal) = 10×60×1×1.05=630kcal
ランニングにMETs値を活用する

自分の目標を設定する
減量を目指す場合の例
中強度(8~10METs)の運動を長時間行う。
持久力を向上させたい場合の例
高強度(12~14METs)のランニングを短時間で行う。
実施時の注意点
適切な負荷を設定する
初心者は低いMETs値からスタートし、徐々に強度を上げましょう。
心拍数や体調を確認する
主観的運動強度(RPE)や心拍数を併用して、自分の限界を把握してください。
環境に応じた対応を行う
天候や地形によって消費エネルギーは変化するため、無理をしないことが重要です。
まとめ
METsは、運動中の酸素消費量を基に運動強度を定量化した便利な指標です。ランニングを含む運動を科学的に計画することで、以下のような効果が期待できます。

METsの知識を活用して、効果的で楽しいランニングライフを送りましょう!
参考文献
健康長寿ネット.“運動強度とエネルギー消費量”.公益財団法人長寿科学振興財団.2019-02-01.https://www.tyojyu.or.jp/net/kenkou-tyoju/undou-kiso/undou-energy.html,(参照2024-12-24)
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