「夏はどうしても走るのがつらい」「秋冬のレースに向けて走り込みたいけど、暑さで計画通りにいかない」
そんな悩みを感じていませんか?気温と湿度が高い夏場は、ランニングにとって最も過酷な季節です。実際に、同じ距離・同じペースでも疲れやすく、心拍数が上がりやすくなります。
私はランニングを専門的に研究している理学療法士 × ランニングアドバイザーとして、夏場のトレーニングの課題や、それを乗り越える工夫について学んできました。
本記事では、夏のランニングがきつくなる体のメカニズムから、暑さに慣れる「暑熱順化」の進め方、安全かつ効果的に走り続けるための10の工夫、そして意外と見落とされがちな正しい水分補給の方法までを丁寧に解説します。
無理をせず、それでも走り続けるため、秋冬の本命レースで結果を出すためには、夏の過ごし方がすべての土台になります。

暑さに負けず、自分のペースで走りを積み重ねていきましょう。
STEP1:暑さに負けないために知っておきたい体温と心拍数の変化

暑い環境下でのランニングでは、体はさまざまな負担を受けています。
体温上昇と発汗
暑さの中で運動をすると体温が上昇します。これを抑えるために体は汗をかき、皮膚の血流を増やして熱を逃がそうとします。しかしその結果、筋肉への血流が減り、走行効率が低下します。
心拍数の増加
発汗により水分が失われると血液が濃くなり、心臓はより強く速く動く必要が出てきます。つまり、同じスピードでも心拍数が高くなる=より疲れやすくなるのです。
STEP2:まずは“暑さに慣れる”ことから始めよう

暑熱順化とは?
継続的に暑い環境でトレーニングを行うことで、体が暑さに順応することを指します。
暑熱順化の効果
汗をかきやすくなり、皮膚の血管が拡張しやすくなることで、熱を効率よく体外へ放出できるようになります。心拍数の上昇も抑えられ、より快適に走れるようになります。
期間の目安
個人差はありますが、おおよそ2週間程度のトレーニング継続で効果が期待できます。
無理に走るのではなく、まずは短時間の運動やウォーキングから始め、少しずつ負荷を上げていくことが重要です。
STEP3:夏の練習を乗り切る10の工夫

- 早朝や夜など、涼しい時間帯に走る
- 30km走などのロング走は気温・体調に応じて慎重に行う
- トレーニング前から水分をしっかり補給しておく
- トレーニング中も給水を忘れず、給水ボトルやハイドレーションを活用する
- 吸汗速乾素材など、機能性の高いウェアを選ぶ
- 帽子やサングラスで直射日光を防ぐ
- ウィンドブレーカーを着て走るのはNG。熱がこもり危険
- 気温が高い日中は無理せずトレッドミルを活用
- ウォーキングやスイミングでの補完運動も有効
- その日の気温・湿度・体調を見て判断する習慣を身につける
STEP4:正しい水分補給は「飲む」だけじゃなく、しっかり吸収させることが大切

腸で吸収されて初めて“水分補給”
水を飲んだだけでは体に入ったとは言えません。腸で吸収されなければ意味がなく、胃に滞留したり、下痢によって排出されることもあります。
食べ物と一緒に摂ると吸収されやすい
おにぎりやゼリー、果物などと一緒に水分を摂取すると、胃腸内に水分がとどまりやすくなります。
塩分(ナトリウム)を加えると吸収効率アップ
スポーツドリンクや塩分タブレットを活用するのも効果的です。
摂り過ぎも注意
必要以上に飲むと尿として排出され、かえってトイレの回数が増えてしまいます。走る直前やレース中には、「必要な分を、こまめに」が原則です。
まとめ
夏のランニングは決して楽ではありません。しかし、適切な知識と対策を身につければ、安全かつ効果的に走り続けることが可能です。
特に秋冬のレースで自己ベストを狙いたい方にとっては、夏をどう過ごすかが成否を分けるポイントになります。

無理をせず、必要以上に休みすぎず。環境に合わせてトレーニングを調整し、「走り続けるための工夫」を積み重ねていきましょう。
参考文献
- 水城昭彦.『マラソントレーニングブック 夢の42.195kmに挑戦』.アールビーズ,1993.
- 鈴木清和.『確実に速くなる ランニングの科学』.池田書店,2015.


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